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2007年7月後半

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07.7.30 - 8.4 (mon - sat)
LACUNA COIL「KARMACODE」イタリアの男女ゴシックメタル06年4th。ヘヴィなグルーヴを生み出すGtリフに、中近東的なエスニックなムード漂うメロディと、堂々と歌い上げる男女デュエットを乗せた楽曲は、完全に彼等ならではのオリジナリティを確立した感があります。全体的に統一されたトーンの楽曲が支配的な中で、ある意味ベタな叙情メロのメランコリックなバラード"WITHIN ME"、キャッチーなメロディがドライヴする"CLOSER"、アンビエントなムードを前面に出した"WITHOUT FEAR"等がアルバムの流れの中でフックとなっています。個人的に一聴して耳に残るメロディでは無いのですが、聴けば聴く程ハマっていくスルメ盤の予感がします。

FRA LIPPO LIPPI「SONGS」ノルウェーの北欧ポップス86年3rd。冷ややかな音色のKeyサウンドに、軽やかな中に陰りを含んだメロディを乗せたニューウェーブ的な趣のある楽曲は、北欧ならではの空気感を感じさせます。特にこれといったキラーチューンは無いのですが、メランコリックなKeyフレーズが胸を打つ"SHOULDN'T HAVE TO BE LIKE THAT"、ポジティヴな明るさと仄かな憂いが同居した"JUST LIKE ME"、アンビエントな浮遊感を持つ"CRASH OF LIGHT"、ラストの穏やかで美しいピアノバラード"COMING HOME"等がなかなか良い感じ。

IMPIOUS「HELLUCINATE」スウェーデンのデスラッシュ04年作。ブラストとツービートの疾走を組み合わせつつ小気味良く爆走するDrと、タイトな切れ味鋭いGtリフが生み出すスラッシーな楽曲は、相変わらず無心にヘドバンを誘発する煽情力を放っています。前作同様、効果的なフックとなるメロディアスなGtソロに、今作では緩急のダイナミズムやハイトーンVoの導入等によるアレンジ面の強化により、前作より各曲のインパクトが強くなったような気がします。快作。

JESSE DAMON「NOTHIN' ELSE MATTERS」SILENT RAGEのVoのソロ04年作。シンプルなアレンジのアメリカンHR。全体的に落ち着いたムードの円熟味のある楽曲を聴かせてくれますが、いかんせんメロディが地味でフックに欠ける印象は否めません。

KALISTA「TIGHTROPE」RON KALISTA率いるアメリカのメロディアスハード05年作。楽曲は大半がGtの手によるもの。渋いトーンのGtプレイ中心の、オルタナティヴなムードも漂わせた軽めのHRですが、今イチメロディの魅力が乏しいです。軽快で比較的明朗なメロディを持った"CAN'T GIVE YOU UP"、冷ややかな哀感を漂わせた"ORDINARY MAN"、フックのあるGtフレーズが聴かれる"PRETENDER"と、終盤3曲で若干マシな楽曲が顔を出すのが救い。

07.7.29 (sun)
ROBIN BECK「DO YOU MISS ME」アメリカの女性シンガーの05年作。MARC JORDAN、MICHAEL BOLTON、DESMOND CHILD等、過去作と同様、著名ライターを起用した本作は、ややAOR寄りに傾いていた作風をグッと産業ロック/メロディアスハードに近付けた、ややハードエッジな雰囲気が感じられます。メロディも素晴らしく充実しており、哀愁のGtフレーズ一発で耳を惹き付けられるキラーオープナーのタイトルトラック、切ない哀感を帯びた歌メロが堪らない"WALK ON THE MOON"、LEANNE RYMESもプレイしていた泣きのパワーバラード"THE SAFEST PLACE(I WANNA BE STRONG)"、高揚感のあるサビメロのメロハーチューン"WHAT ABOUT US"、産業ロックのお手本のようなミドルテンポ"STONE BY STONE"、爽やかで感動的なメロディが軽やかに舞う"COMING BACK FOR MORE"等々、粒揃いの佳曲オンパレード。

GENE WALK GROUP「S.T」アメリカのメロディアスハード93年6曲入りミニ。アメリカのインディ・メロハーにありがちな、DANGER DANGER等を思わせる快活なLAメタルタイプの楽曲。躍動感のあるメロハー"LONG ARM OF LOVE"、少しレイドバックしたムードを取り入れた"STAY WITH ME"、アコギメインの大陸的なバラード"PAINTED HORSE"、Keyアレンジを施した哀愁メロハー"NO MORE SECRETS"等、インディ・メロハーの一通りのパターンを網羅した楽曲陣は、それなりのクオリティで、まずまず楽しめます。

07.7.24 - 28 (tue - sat)
DIMMU BORGIR「IN SORTE DIABOLI」ノルウェーのシンフォニック・ブラックメタルの07年作です。メロデスは好きなんですが、シンフォ・ブラックはさほど好みでは無いのもあって最近のアルバムはチェックしていなかったDIMMU BORGIRですが、BURRN!誌でMASA ITOH氏が絶賛レビューを書いていたので、聴いてみました。

魔王の降臨を予感させるような不穏でシンフォニックなイントロの"THE SERPENTINE OFFERING"で仰々しく幕を開ける本作。速さを抑えた壮大なスケール感を感じさせるドラマティックな展開で、中間部のオペラティックなパートが荘厳さを感じさせます。ツーバスの荒々しいドラミングとデス声での咆哮から始まる"THE CHOSEN LEGACY"は一転して暴虐感を前面に押し出した作風ではありますが、この曲でも疾走感は控えめで、ダイナミックな展開で聴かせる楽曲。

"THE CONSPIRACY UNFOLDS"は呻くようなVoと重々しいGtリフが絡むヴァースから、シンフォニックなアレンジと共にアップテンポに展開し、汚物を吐き出すようなデス声のシャウト、神々しいクワイア、ブラストビート、ドライヴ感のあるGtリフ等が渾然一体となって駆け抜ける盛り沢山な楽曲。"THE SACRILEGIOUS SCORN"はシンフォニックなKeyリフ、荘厳なクワイア、ストリングスにチェンバロ風Key等が目まぐるしく展開するゴージャスな楽曲。

ダークでムーディなインスト"THE FALLEN ARISES"からアルバムは佳境を迎えます。"THE SINISTER AWAKENING"は、テンションの高いアグレッシヴなGtリフとシンフォニックなKeyアレンジが交互に主導権を握りつつ重厚感タップリにドライヴする楽曲で、「ANTICHRISTUS!」と繰り返されるクワイアがブラックメタルならではの背徳感を感じさせます。ストリングスと宗教的なクワイアが絡むイントロを持つ"THE FUNDAMENTAL ALIENATION"は、ブラストビートとシンフォニックなKeyが絡みつつ禍々しいGtリフが疾走して過剰にドラマティックな盛り上がりを演出する、正にシンフォ・ブラックな楽曲。"THE INVALUABLE DARKNESS"は威風堂々たるフレーズのKeyイントロでいきなりクライマックスを迎え、そのままのテンションを保ちつつ豪華絢爛に展開されるオペラティックなブラックメタル絵巻。本編ラストの"THE FORESHADOWING FURNACE"は、重厚でアグレッシヴなGtリフがリードするヘヴィなパートからブラストビートが荒れ狂う疾走パートに展開するドラマティックな楽曲。ボーナストラックはVENOMの名曲"BLACK METAL"の荒々しいカヴァー。

ブラックメタルの邪悪さ、禍々しさよりは整合感のあるサウンドメイキングや精緻に構築されたドラマティックなアレンジ等が目立つ作風で、非常に聴きやすい楽曲揃いです。SHAGRATHのVoも、醜悪さを保ちつつも歌メロを表現できるという巧者振りを遺憾無く発揮しており、神々しいムードを感じさせるクリーンVoパートとのコントラストが強力に際立っています。非常に完成度が高いのは充分に理解しつつも、このテのシンフォ・ブラックを聴いた時に感じるもどかしさをこのアルバムでも感じてしまうワケで、どうにも初期衝動的な荒々しさや暴虐感が今一つ薄いような。ボーナストラックのVENOMのカヴァー "BLACK METAL"が滅法格好良く聴こえるのも、そこに起因してるんでしょうね・・・。

07.7.23 (mon)
TRIO RIO「VOODOO NIGHTS」ドイツのハイテクAOR87年2nd。1stと3rdにはレゲエの要素を取り入れた陽気なムードの楽曲が目立ったんですが、この2ndでは、どちらかというとソウル寄りの陰りを帯びたメロディが支配的で、個人的には好印象。ソウルフルなアーバンAOR"WALKING THE VOODOO NIGHTS"、やや気怠げな陰りを帯びたムーディーチューン"GREATEST LOVE"、ダンサブルでアッパーなソウル"VOULEZ VOULEZ VOUS"、厚みのあるキャッチーなコーラスをフィーチュアした"LONESOME LOSER"等が聴きやすい。TRIO RIOはこの2ndがベストかな。

PARADISE LOST「DRACONIAN TIMES」イギリスのゴシックメタル95年作。これを買った当時は良さが分からなかったんですが、ゴシックの魅力に気付いた今聴くと、その素晴らしさが身に沁みます。非常にシンプルなGtリフ主体の古典的HRの骨格に、メランコリシティ溢れるGtフレーズと陰鬱とした歌メロを全編に組み込み、時折リリカルなピアノアレンジで装飾したミドル〜スローの楽曲の数々は、後に現れる北欧ゴシックの確かな原型を感じ取る事ができます。現在の彼等に比べても、アレンジや歌メロは無骨で洗練されていませんが、そのクオリティは非常に高く、名盤と呼ぶに相応しい出来。ただ、やはり僕は「S.T」に軍配を上げるかな。

CALIBAN「THE AWAKENING」ドイツのメタルコア07年5thです。過去2作をIN FLAMESのANDERS FRIDENがプロデュースしている事でも分かるように、近年のIN FLAMESが指向していた音楽性に非常に近いサウンドです。いつものように1曲ずつ感想を書こうと思ったんですが、どの曲を聴いても「IN FLAMES的」としか表現がしようの無い楽曲ばかりで、たまにAT THE GATESっぽい前のめりのアグレッシヴなGtリフが出てくるデスラッシュパートがフックとなっているくらい。極め付けはボーナストラックの"I SEE THE FALLING SKY"で、 ANDERS FRIDENがゲストVoとして参加したこの楽曲は、「IN FLAMESのカヴァー?」と思ってしまった程そのまんま。なかなか格好良いんですが、これを聴くくらいならIN FLAMES「COME CLARITY」を聴くよ、という気がしないでも無い1枚でした。

07.7.22 (sun)
SAND & GOLD「REMEMBER MY NAME」PETE SANDBERGが盟友JONAS REINGOLDと結成したAORユニット97年作。アコースティックなアレンジの軽快でポップな楽曲。爽快感のあるキャッチーな楽曲が中心ですが、胸に滲みる仄かな哀愁もあり。過去色々なスタイルの楽曲をプレイしてきた彼等ですが、その中でもかなり上位に来るであろう素晴らしいアルバム。

SAY「FOOLCHILD」アメリカのメロディアスハード2nd。1stでは柔和なハードポップをやっていましたが、このアルバムではガラリと作風を変え、プログレAORハードとでも呼びたくなるような楽曲をやっています。ややフュージョンっぽさもあるタイトなAORで、DREAM THEATERがAORをやったらこんな感じ?という印象。テクニカルなプレイと味わい深い構成の妙が楽しめる好盤。

SCORPIONS「SAVAGE AMUSEMENT」SCORPIONSのアルバムの中でも最も産業ロックの強いキャッチーな楽曲が楽しめる一枚。哀愁に満ちたメロディの出来は流石。

SCOTT SPRINGER「HELLO FOREVER」元HALOのVoソロ93年作。ELEFANTE兄弟プロデュース。HALOの2ndに近い非常に洗練された透明感のあるメロディアスな楽曲揃い。

SHOOTING STAR「IT'S NOT OVER」アメリカのメロディアスハード91年作。産業ロック色は薄れ、比較的ストレートなHRになっていますが、"BELIEVE IN ME"での爽やかなメロディと巧みなKeyの導入や、"DANCING ON THE EDGE"でのドラマティックな展開、"IF YOU'VE GOT LOVE"での哀愁メロディ等では、往年のセンスを未だに感じさせてくれます。

SHOUT「IN YOUR FACE」元JOSHUAのVoのKEN TAMPLINと元IDLE CUREのCHUCK KINGが結成したクリスチャン・メロディアスハードの89年2nd。テクニカルでフラッシーなGtと厚いコーラスアレンジに彩られた爽快な楽曲。非常にクオリティの高い楽曲揃いで、KEN TAMPLINの歌唱も見事。

SLYBOY「BROWNBAGGIN' IN FUNKYLAND」ノルウェーのメロディアスハード。タテノリのアメリカンなテイストの楽曲ですが、サビの歌メロでは北欧らしい透明感のあるメロディとコーラスが顔を出します。

STAIRWAY「STATE OF WAR」スイスのメロディアスハード94年作。96年に隠れた好盤「SYMPHONY OF LIFE」をリリースしていますが、これはその前にリリースされていた4曲入りEP。Keyと泣きのGtをふんだんにフィーチュアした哀愁メロディアスハード。PRAYING MANTIS的な趣のある一枚。

STEEL DAWN「MIRROR IMAGES」ドイツのメロディアスハード94年作。LONG ISLAND盤。MICHAEL BOMMANプロデュースで、楽曲の方も熱さのある哀愁メロディをフィーチュアしたJADED HEARTタイプ。マイナーなバンドですが、楽曲のクオリティは初期JADED HEARTと肩を並べるくらい良い出来。

STEPHEN CRUMBACHER「TAKE IT IN」CCM史上に残る名作を残すCRUMBACHERのリーダーソロ91年作。マイルドで叙情的なメロディの美しさはそのままに、よりメロウなAOR路線の楽曲。

STEVE CAMP「AFTER GOD'S OWN HEART」CCMシンガーのレアな87年作。前作までの産業ロック的な楽曲から、ややAOR寄りにシフトしています。ポップ感覚のある軽やかな楽曲に、ゴスペル調の荘厳な雰囲気が加味されたアルバム。

STEVE CAMP「DOING MY BEST」アメリカのCCMシンガー90年ベスト作。2曲の未発表曲と主に80年代のアルバムからバラードを中心に12曲を収録したアルバム。非常にレアな「SHAKE ME TO WAKE ME」から2曲、「FIRE AND ICE」から1曲、「ONE ON ONE」から2曲収録されているのが目玉。

STEVE CAMP「DOING MY BEST VOLUME 2」アメリカのCCMシンガー91年ベスト盤。レアな80年代の5枚のアルバムから14曲を収録。前のベスト盤がバラードを中心にピックアップしたものなら、こちらは逆にハード、というかキャッチーな躍動感のある楽曲を中心に選曲したアルバム。特に「FIRE AND ICE」からのタイトルトラック、"SQUEEZE"、「ONE ON ONE」からの"FOOLISH THINGS"、「SHAKE ME TO WAKE ME」からの"HELP IS ON THE WAY"あたりは極上の産業ロックチューンです。

STEVE CAMP「JUSTICE」CCMシンガーのレアな88年作。前作同様ポップで軽快な楽曲とゴスペル的な荘厳な雰囲気を感じさせるホーリィな楽曲で構成されたアルバム。

STEVE PLUNKETT「MY ATTITUDE」元AUTOGRAPHのVoソロ91年作。AUTOGRAPH時代とほぼ同様の音楽性で、これぞアメリカンHRという感じの厚いコーラスアレンジを施した爽快でキャッチーなメロディ。Keyは少し控えめなせいか、ロック的な躍動感が強く出ているような気がします。全編非常に安定した高品質な楽曲ばかりですが、特に哀愁ハードな"EVERY LITTLE WORD"は名曲と言って良い出来。

STEVEN CURTIS CHAPMAN「THE LIVE ADVENTURE」アメリカのCCMシンガーのライヴ盤93年作。「THE GREAT ADVENTURE」ツアーを収録したアルバムで、想像以上に熱いロック色豊かな前半から、中盤のアコースティックメドレーを挟んで後半は穏やかなバラードをしっとりと聴かせるという構成。

SWEET COMFORT BAND「CUTTING EDGE」BRIAN DUNCANと後にALLIESを結成するRANDY THOMASが在籍したアメリカのCCMの82年5th。彼等のアルバムの中でも産業度の高いアルバムで、タイトな演奏とスリリングなメロディ展開が素晴らしい"RUNNIN' TO WIN"、"VALERIE"、"ARMED AND READY"といった楽曲はALLIESの楽曲あたりを思わせます。一方でCCMらしい美しいピアノバラード"HAVEN'T SEEN YOU"、ウエストコーストAOR的な"BREAKDOWN LOVE"、アーバンな哀愁漂うAOR"LIVE IT"等もあって、産業ロックとAORの両面の魅力が楽しめる好盤になっています。

SWEET COMFORT BAND「PERFECT TIMING」アメリカのCCM91年6th。DINO ELEFANTEプロデュース。彼等のアルバムの中でも最も産業ロック色の強い一枚で、重厚なKeyをたっぷりとフィーチュアしたキャッチーな楽曲が満載の好盤。特にハードタッチの哀愁メロディが光るタイトルトラックと"DON'T BOTHER ME NOW"は名曲。

07.7.17 - 21 (tue - sat)
NOUMENA「ANATOMY OF LIFE」フィンランドのメロディックデス06年作。ディープなグロウル系デスVoと、トラッド風味のあるメランコリックなGtフレーズが繰り返される様から想起されるのは、「TALES FROM〜」期のAMORPHIS。そこに女性VoによるフックやSENTENCED的なノリの良いゴシック風味を加えたような雰囲気。叙情と寂寥感に包まれたアルバム全体の雰囲気が素晴らしく、個々の楽曲の煽情力もかなり強力。

SILENT STREAM OF GODLESS ELEGY「RELIC DANCES」チェコのゴシックメタル04年作。どこか儀式的なムードの漂うストリングスによる陰鬱な楽曲に、たおやかで美しい女性Voとグロウル系のデスVoが絡み合います。女性Voによる歌メロはどちらかというと浮遊感のあるアンビエントな雰囲気が強く、分かりやすいメロディはあまり聴かれません。あまりこのテの楽曲は聴いた事が無いので何とも言えませんが、昔聴いたTHE 3RD AND THE MORTALなんかを寂寥感ある雰囲気を思わせます。僕がデス/ゴシック系を買う時は大半がCOPを参考にさせていただいてまして、これもNOUMENAもその内の1枚。NOUMENAは凄く好みだったんですが、こっちはドハマリというワケでは無かったかな・・・。やっぱ僕はベタな哀愁メロが好きみたい。

WHITE WOLF「VICTIM OF THE SPOTLIGHT」カナダのメロディアスハード21年振りの復活07年3rdです。勿論リアルタイムで過去作を聴いていたわけでは無いんですが、メロハーファンの間では名盤の誉れ高い1stは、僕も愛聴していた1枚でした。そんな彼等が往年の姿を維持したまま復活という事で、期待して買ってみたんですが、正にその通りの素晴らしい出来映えでした。

ロングトーンの泣きのGtフレーズをイントロに配したドラマティックな展開の"EYES OF THE WORLD"は、タイトルの通りどことなくRAINBOWを思わせるような哀愁メロハー。この曲を聴いただけで、このアルバムの方向性を確信させる1曲です。"DON'T TURN AWAY"も濃密な哀愁メロを含んだ重厚なミドルで、サビメロが非常にキャッチー。"AMERICA(HELLO AGAIN)"は叙情味を帯びた静かなヴァースから一気にサビメロで盛り上がる、ダイナミックな展開を持ったLAメタルタイプの楽曲。

"OUT OF CONTROL"は、仄かにRAINBOWの"KILL THE KING"を思わせるスリリングな疾走チューン。"DREAMS ARE FOREVER"は高揚感を感じさせるブリッジから大らかなサビメロに展開する、ポジティヴな雰囲気を持った楽曲。陰りを帯びた哀愁曲が続く中でのフックとして機能しています。"PRICE OF ONE"はビッグなGtリフが楽曲をドライヴするライヴ感のあるHRチューン。

"HOLD ON (GETTIN' TIGHTER)"は、「BURN」期のDEEP PURPLEを意識して書かれた楽曲で、タイトなGtリフに乗せた2人のツインVoが映える渋い楽曲。"NIGHTMARES"は、憂いを帯びた静かなヴァースからキャッチーなコーラスを配したサビメロでフックを設けるミドル。どことなくエスニックなムードのGtソロが印象的。"NIGHT CITY"は日本盤ボーナストラックで、ダイナミックなイントロのフレーズは魅力的ですが、楽曲自体はやや大味で、若干今までの楽曲と比べるとレベルは落ちます。

"THE WOLF"はメインのGtフレーズが印象的なミドルで、ブリッジとコーラスの2段構えで哀愁のフックを設ける歌メロが秀逸。スペーシーなKeyイントロから始まる"ONE MORE LIE"はタイトなGtリフに哀愁メロを乗せた楽曲で、ありがちながらもクオリティの高い1曲。タイトルトラックの"VICTIM OF THE SPOTLIGHT"は、本人も語っている通りRICHIE BLACKMOREの影響を感じさせるGtフレーズと曲展開で、RAIBOWの速い曲を思わせる格好良いアップテンポ。"HARD COLD STONE"はファンクテイストを持ったグルーヴィーな楽曲。何故この曲で最後を締めるのか理解に苦しむ構成です・・・。

彼等に求められるものを理解しきった復活作なワケですが、それもそのはずで、収録曲の大半は85年〜87年頃に書かれた楽曲らしく、正に埋もれていた幻の 3rdを復刻したという作品になっています。新鮮な驚きは無いものの、メロハーファンのツボをビシビシ突いてくる好盤です。

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