MADINA LAKE「FROM THEM,THROUGH US,TO YOU」アメリカのスクリーモ・・・になるんでしょうか、4ピースのロックバンドの07年デビュー作です。何となくジャケとバンド名からMALICE MIZERを連想したりもしていたんですが、果たして・・・。 ストリングスと儚げなピアノが絡むどことなくレトロなインスト"THE AUSPICE"で始まった時には、「本当にMALICE MIZERっぽい?」なんて思ってしまったんですが、続く"HERE I STAND"が一音目からMY CHEMICAL ROMANCEそのまんまだったんで、「ああ、そっちのフォロワーね・・・」と。キャッチーなメロが疾走し、大らかなサビメロで盛り上げるという「THREE CHEERS FOR SWEET REVENGE」の時のMCRの楽曲の印象に非常に近く、クオリティも高いです。続く"IN ANOTHER LIFE"も性急なスピード感で突っ走るヴァースと、雄大なサビメロのコントラストを効かせたMCR的な楽曲。 "ADALIA"もポジティヴで聴きやすいメロディが軽快に駆け抜ける楽曲で、ブリッジでの儚げなピアノアレンジがフックになっています。"HOUSE OF CARDS"は冷ややかな音色のKeyと陰りのある歌メロが絡みつつダイナミックな展開を見せる楽曲で、特に好きな曲。"NOW OR NEVER"はサビメロでのスケールの大きなシンガロングがアリーナロック的。 "PANDORA"はジャラジャラした軽いGtにファルセットを活かした歌メロを乗せた楽曲で、ニヒルなムードを感じさせるフックのある1曲。"STARS"はストリングスを絡めつつ徐々に盛り上がるヴァースから、ヘヴィリフとシンガロングが炸裂するサビメロで盛り上がるという展開の楽曲。"RIVER OF PEOPLE"はゴシック的な気怠くダークなムードが支配するミドルで、個人的にはこの曲が一番好き。サビメロも秀逸。 "ONE LAST KISS"はヘヴィロック的なGtリフにキャッチーな歌メロを乗せたHOOBASTANKを思わせる楽曲。"ME VS. WORLD"もHOOBASTANKっぽいヘヴィリフ+大らかなサビメロという雰囲気。"MORNING SADNESS"は繊細なアコギに絡む穏やかなヴァースからスケールの大きなサビメロに展開する曲。本編ラストの"TRUE LOVE"はグルーヴ感を感じさせるヘヴィリフが躍動するヴァースからキャッチーなサビメロへの流れが、これもHOOBASTANKを彷彿とさせる楽曲。 ボーナストラックが2曲。"AGAIN AND AGAIN"は爽やかなメロディを軽やかに聴かせるポップな楽曲。"ESCAPE FROM HERE"も爽快なメロディが疾走感タップリに駆け抜ける楽曲で、どちらも本編収録曲と遜色無い出来。 という感じで、前半がMY CHEMICAL ROMANCE、中盤に少しゴシック風味が入り、後半はHOOBASTANK風、みたいな感じで、売れ線バンドを節操無く良いトコ取りして、センス良くまとめたという雰囲気のアルバム。数年後も残っているかどうか非常に微妙な気はしますが、とりあえずこのアルバムのクオリティは高く、MCRの前作が好きな僕のような人なら楽しめそうな一枚です。ちょっと無難にまとまり過ぎている印象もありますが・・・。
RUSH「SNAKES & ARROWS」カナダの大御所プログレHRトリオの07年最新作です。彼等のアルバムをリアルタイムに聴くのは、実は今作が初めてだったりします。産業/メロハー好きの僕からすると、彼等のアルバムで好きなのは、シンセを大胆に導入しコンパクト&キャッチー化を図った「GRACE UNDER PRESSURE」や「POWER WINDOWS」だったりするんですが、最近はどんなサウンドになってるんでしょうか。 ダイナミックなGtリフとDrのイントロから始まる"FAR CRY"はメインリフが紛れも無くRUSHの音。RUSHの聴き所の一つでもある、多彩なBラインがハッキリと聴き取れる絶妙のサウンドバランス。ハードなアレンジにポップなメロディを乗せた「A FAREWELL TO KINGS」期の雰囲気に近い楽曲。"ARMOR AND SWORD"はアコギとやや重めのダークなリフが絡み合うグルーヴ感のあるミドル。引きずり込まれるような求心力のあるダイナミックな展開。"WORKIN' THEM ANGELS"は、軽快でポジティヴなメロディのヴァースと、重くグルーヴのあるブリッジ〜コーラスが交錯するミドルで、この曲でもアコースティック系の楽器がフックを生んでいます。 "THE LARGER BOWL"はアコギ中心の軽やかなアレンジに比較的起伏の少ない歌メロを乗せた淡いトーンの楽曲で、叙情的なGtソロが良い彩りを与えています。"SPINDRIFT"は不穏でダークなトーンのアンサンブルに危機感を煽るようなテンションのVoを乗せたRUSH流ダークプログレハードといった趣。そのムードを継承するのがプログレッシヴなインストの"THE MAIN MONKEY BUSINESS"で、ムーディでアトモスフェリックな序盤から官能的なGtソロを挟んでアグレッシヴな中盤を迎え、終盤はまた序盤同様ミステリアスなムードで幕を閉じるというダイナミックな構成の楽曲。 "THE WAY THE WIND BLOWS"は珍しくブルージーなGtフレーズがリードする楽曲ですが、繊細なアコギを交えた大らかなサビメロに展開するあたりは一筋縄では行かない感じ。"HOPE"はアコギ1本での短いインストですが、どことなくエスニックなムードが漂う美しくエモーショナルな小品。"FAITHLESS"はアコギ、Bライン、ストリングスが絡み合ってゆったりとした雄大な旋律を奏でる楽曲。"BRAVEST FACE"もアコギメインの淡々としたヴァースからサビメロで盛り上がる展開の楽曲で、やや陰りを帯びたトーンのメロディが印象的。 "GOOD NEWS FIRST"は色々と凝ったアレンジを施しつつも基本は歌メロ中心のミドルで、ダウナーなムードのヴァースから開放的なサビメロに展開する楽曲。"MALIGNANT NARCISSISM"も短いインストですが、"HOPE"とは対照的にダイナミックかつテクニカルに躍動する楽曲。ラストの"WE HOLD ON"はラストを締めるに相応しいダイナミックな展開とメロディアスな歌メロを共存させたハードチューン。 「COUNTERPARTS」期のダークで重めのGt中心のスタイルに、オーガニックでアコースティックな瑞々しさと歌メロの芳醇さを加えたような作風という印象でしょうか。節目毎に音楽性を変遷させ、そのスタイルの中で必ず名作を生み出して来た彼等ですが、このアルバムは今期の名作として語り継がれそうな雰囲気を感じさせる一枚に仕上がっています。
FALL OUT BOY「TAKE THIS TO YOUR GRAVE」アメリカのメロディック・パンク03年作。躍動感のあるリズムと小気味良いGtカッティングに乗せて、ポップで朗らかな歌メロを乗せた楽曲。確かにキャッチーでノリノリで気持ち良さそうな楽曲ではあるんですが、個人的には全く心に響いてきません・・・。やっぱ俺はこのジャンル、ダメだ。
LACUNA COIL「COMALIES」イタリアの男女ゴシックメタル02年3rd。最新作から遡って聴いてみましたが、このアルバムでは次作で顕著になるエスニックなメロディは表面化しておらず、あくまでPARADISE LOST的なヘヴィリフとダークでメランコリックなメロディを組み合わせた、ある意味典型的なゴシックメタル。そこに加えて彼等ならではのオリジナリティを感じさせている要素は、全体に仄かに漂うアトモスフェリックなKeyが演出する浮遊感と、メインシンガーCHRISTINA SCABBIAの妖艶な歌唱。次作のような明確なアイデンティティが存在するわけでは無いんですが、楽曲スタイルとしては、こっちの方が好みだったりして・・・。男声Voの歌うメロディ聴いてると、本当にPARADISE LOSTっぽいからね。
MIND THE GAP「A ROOM FULL OF CLOUDS」詳細不明ですが、メンバーの名前から判断すると、恐らく北欧のハイテクAOR90年作。柔和なKeyアレンジを施した、まったりとしたAOR。大らかで広がりのあるメロディは、耳あたりは良いものの、全体的には今一つフックに欠ける印象。"EVERYDAY IS A MONDAY"の雄大なサビメロ、"EVERY SINGLE STEP"での軽やかなメロディ等、部分的に光るものは感じられます。 |