油絵制作ブログ(黄金虫・共存) 全体表示

 『黄金虫・共存』の制作過程をアップしました。(2018. 12. 28 ~ 2019. 4. 9)

ブログ一覧(新着順)

残念無念!

4月9日(火)、春陽展の今年の仕事分担、画集作りのための作品撮影のお手伝いのため、六本木の国立新美術館に行ってきました。
撮影は3日目で、最終日でした。
200枚くらい撮影する中で、偶然にも自分の作品からスタートでした。


そう、入選の合否や、どの作品が選ばれたか通知が来る前に分かってしまいました。
発表前のフライングですが、写真を見てもらえば分かるとおり、そこに『共存』(コガネムシ)はありませんでした。
残念無念!
コガネムシの絵は、横浜市民ギャラリーで開催する秋の春陽会神奈川研究会展で披露したいと思います。
日の目を見ないのは不憫ですから。

 








ところで、自分の作品が撮影の最初だったことには訳がありました。
正しくは、前日に撮影されるはずが、どうしてもうまくいかなくて持ち越しになったようです。
理由は2つあり、奥行きの深い額のため作品の周りに影が入ってしまうことと、黒いバックが光って白くなってしまうことでした。
朝、美術館の撮影室に入ると、自分のとよく似た額の取り付けねじを外していたので、「えらく大変なことをしているなあ」と思ったら、自分の作品でびっくりしました。
カメラマンさんに「自分のです」と言うと、私情をはさむことになるので黙って見ていたのですが、なぜかばれてしまいました。
他の作品が1分以内に1回撮って終わりなのに、ライティングの角度や位置をいろいろ変え、15分以上かけて何度も取り直しをしていただきました。
カメラマンさんに感謝です。
そして、プロだからこそ妥協せず、いろいろライティングを試すということがわかり、床に黒い布を敷くなど勉強になりました。


かくしてこの「油絵制作ブログ」はしばらく一旦中断です。

2019年04月09日

題名は…

最終の加筆をしました。気になる3匹のコガネムシを中心に、またブラッシュアップしました。

ところで、気になる題名ですが、描き始めの頃は、「Paradise?」にしようと考えていました。
脳天気に花びらをむさぼっていたら、そのうち自分たちの住む地も失うことになる、というイメージで、宇宙空間の地球とだぶらせていました。
でも、描き進めていくうちに、頭から体中に花粉をまとっているコガネムシが数匹いることに気づき、これは受粉の手助けをしているのではと思い、「共存」と改めました。
植物と昆虫、一見食い荒らす害虫という構図ですが、コガネムシ同士もお互いが落ちないように足をつなぎ合っているところもあり、ここでも「共存」が成り立っているのかなと思いました。

4月1日に業者が3点の絵を運びます。加筆は最後の最後まで「共存」の絵に集中しましたが、結果はどうなることやら。
いずれにしても、「生身」(欅の樹)の2枚の絵があったから、思い切って「共存」(コガネムシ)の絵が描けたのだと思います。

結果は早ければ4月5日頃に第一報が入ると思います。入選作品の画集のための写真撮影は7日から始まります。



2019年03月30日

ブラッシュアップ

「仕上げ」と言うと、絵の場合、いいことがありません。気持ち的に守りに入り、絵から勢いが消えてしまいます。そこで、あえて「ブラッシュアップ」と言っておきます。「磨きをかける」の方が、気持ちが前向きになります。

実際、今日一日休み休みしながらほぼ一日集中して描いていました。いつもの集中力は1時間前後です。描き重ねた箇所は、コガネムシほぼ全部と、おしべ、めしべです。だいぶ「ブラッシュアップ」できたと思います。

またしばらく眺めて、修正箇所を見付けます。
業者の搬入は4月1日になりました。あと1週間です。


2019年03月24日

コントラスト増す

また久しぶりの投稿です。コガネムシの光沢に白を加え、コントラストを増しました。まだまだ完成ではありません。でも劇的に変化しないので、変わり映えしないように見えます。見違えるようになったら完成で、そうならなかったら、駄作で終わります。

春陽会本展で、どの絵が入選するのか考えると、どの絵が選外になるのかを考える事なので、少し暗い気持ちになります。


2019年03月18日

漆黒と決別

バックの黒はもうなくなりました。またコガネムシの光沢部分にサンドペーパーをかけました。
あとは「感動を描けているか」です。

作品を撮影する時、いつも上部センターが光ってしまうので、左右から光を当てたら、今度は上部左右が光ってしまいました。今年4月の春陽会展の仕事は作品撮影と画集作りなので、プロの技を学んできます。



2019年03月10日

漆黒改めニュアンス

久しぶりの投稿です。その間に、少しずつ描き加えてはいたものの、仕事が忙しくなり、絵の方が進みませんでした。
まず春陽会神奈川研究会の批評会で強く言われていた黒いバックをどうにかしようと、漆黒をあきらめ、緑や茶色のニュアンスをつけてみました。薄く塗っていることもあり、ほとんど黒に吸収されてよく分かりません。
またラファエルの筆12号を買い足したので、細いうぶ毛に使ってみました。そして懸案のトップの位置にある交尾している2匹を描き進めました。
キャンバスのたるみがずっと気になっていたので、もう一度張り替えました。自己分析するに、手詰まり感があり、心機一転したかったのだと思います。キャンバスにしわがなくなり、気持ちは晴れやかになりました。ベルギー製のクレサンのキャンバスは、高温で湿度の低い時に貼るのが理想だとうたっていますが、日本の季節にそんな時期はありません。初夏かな?


2019年03月03日

春陽展 招待券

第96回春陽展の招待券が手元にあります。
以下の日程で、それぞれの会場で開催します。
観に行ってくださる方、ご希望の方がいらっしゃいましたら、お気軽にメールをください。
郵送いたします。(はがきタイプは2名まで無料招待)


3点の絵は、ギリギリまで加筆していきます。



2019年02月19日

春陽展本展前の批評会

2月17日(日)、横浜のフォーラム南太田で、春陽会神奈川研究会に作品を持参し出席してきました。第96回春陽展前の作品批評会です。
コガネムシの絵は初披露です。結果は、……残念でした。
「イラスト風」、「春陽展という公募展に向いていない」、「黒のバックは空間を狭くしている(拡がって見えない)」等々、褒められた意見はありませんでした。
結論としては、「樹の絵を続けていっていいんじゃないの?」ということのようです。

その批評にめげず、本展に向けてコガネムシの絵を精一杯仕上げていきます。






2019年02月17日

一緒に寝泊まり

昨日、今まで描いていた部屋から、寝室兼ワークスペースの部屋に作品を移動しました。どちらも2階なので平行移動なのですが、S100号は縦にしても横にしても変わらない(正方形だから当たり前)ので、廊下のクランクを曲がるところで四苦八苦し、結局車に積んで移動するための手段、2つに折って運びました。(二つ折り木枠だからなせる技)
「一緒に寝泊まり」とは、ほぼ全面が乾いたことと、仕上げに入ったことを意味します。もう一つの理由としては、来週2月17日に横浜で春陽会神奈川研究会の本展前最後の批評会があるので、昨年11月に開催した神奈川研究会展に出品した他の2点と比較するためです。同じ部屋に置いて、眺めて、比較競争し、足りないところや欠点を探してお互い加筆します。さっそく「生身4」に手を加えたところ、なんか変になってしまいました。
コガネムシの絵の方は、色を重ねて、色の層が厚くなることで、甲虫独特の堅さが出つつあります。この作品の題名は、完成までまだ秘密です。




2019年02月11日

うぶ毛

久しぶりの更新です。少しずつ全体的に手直しをしています。また今日はコガネムシのうぶ毛を描き加えました。一部のコガネムシには甲殻?に沿ってうぶ毛が見られます。
活発に動き回っているわけではありませんが、動きも表現できればと思います。


2019年02月05日

漆黒にならず

バックの黒塗りをしてからわずか2日で乾き始めました。しかもムラになって。早く乾くと、ひび割れを起こしてしまいます。
黒に対する白で、花びらの色も少し白を加えました。また足も描き足しました。コガネムシの色も少しずつ絵の具の層を厚くしています。
そうは言っても、どこが変わったのか、劇的な変化は見られないので、間違い探しの様相です。
途中経過を人に見せるというより、自分の気付きのためにアップしています。


2019年01月29日

深みのある黒

バックの黒をもう一度塗り直しました。今度はバーントアンバー(焦げ茶色)とコバルトブルーディープ(紺色)が半々です。実際には自分の目で確かめて、コバルトブルーを加え微調整しています。黒の絵の具は一切使っていないのに、黒に見えるから不思議です。
「漆黒」という言葉があります。また「ピアノブラック」という言葉もよく耳にします。「漆黒」が表現できたらいいなと思います。塗った直後はいい感じのつやが出ていますが、乾くとつやが退いていきます。黒は難しいです。
また、「ヘアライン仕上げ」という言葉も耳にします。アルミ板の表面を一方向に磨き上げて高級感を出すものです。それも意識しました。



2019年01月27日

おしべ 描き進み

おしべを描き進めました。コガネムシも少しずつ加筆しました。何匹か、頭や体に花粉がかかっている様子も描き加えました。
撮影にはレンズとカメラを替えながら試行錯誤して撮った結果、実物の絵と近い色が撮れたと思います。(この写真はCanon EOS5D MarkⅡ EF24-70 F2.8L使用)
でも光が当たってもやがかかったように写ってしまうところが解決しません。照明にシェードをつけたり、キャンバスを前屈みに倒したりしてもこの通りです。別の部屋で撮ると違うのかも知れません。
バックの擬似的な黒は塗りむらが出てしまっているので、もう一度重ね塗りをするようかなと考えています。



2019年01月26日

おしべ 描き始め

おしべを描き始めました。と言っても、他の部分を描きながらです。少しずつですが、全体的に変わっていきます。
だんだん細部まで引き延ばして見たくなるので、少しピクセルを上げました。レンズや撮り方によって色再現も変わってくるので、完成に近づくにつれて撮影にも厳密さが要求されます。


2019年01月23日

心の準備

ある程度、コガネムシが描けてきました。(もちろん完成ではありません)
次はいよいよおしべとめしべの狂い咲き?の様子を描きます。どうやって勢いをつけるか、失敗しそうで、まだ心の準備ができていません。
「コガネムシ VS ポピー」を表す重要なポイント、言ってみればクライマックスのようなものなのに、プランが定まりません。ここは一度デッサンをし直した方が良さそうです。



あと、写真の撮り方と加工を工夫しました。いつも上の方が光ってしまうので、キャンバスに紐をつけて斜めに前掲姿勢を保って撮影しました。結果は、…まだ光っていました。
それから、スマホで縦画面で見ると、写真が小さく表示されることに気がつき、正方形の絵なんだから、正方形に切り取れば、スマホに限って大きく表示されるだろうと考えてやってみました。うまくいく(大きく表示される)と思います。



2019年01月21日

ダンゴムシか、ゴキブリか?

コガネムシに足を描く前は、ダンゴムシに似ていました。足を描いていくと、今度はゴキブリに似てきました。
いずれとも違う点は、色がカラフルなことです。緑や赤で光沢がある様子は、エメラルドやルビーのイメージです。そこを大切にしつつ、描き進めていきます。


2019年01月19日

加筆

あまり変わり映えしなくてすみません。一歩一歩です。

コガネムシの足を描く前に、コガネムシ本体の絵の具の薄いのが気になり加筆しました。今日は緑色(サップグリーン、ビリジアン)を重ねました。一日おいたのに、乾いていませんでした。油絵なので、水分の蒸発ではなく、油の酸化です。まだ描き始めなので、絵の具や油をたくさん使うため、揮発油の油の匂いが激しいです。仕上げの段階になれば匂いは落ち着くので、そうなったら寝室に運んで一緒に寝泊まりします。


2019年01月17日

コガネムシの足を描き始める

 例のラファエルの筆で、コガネムシの足を少しだけ描き始めました。描いていると、コガネムシの体の陰影のなさが気になって描き足してみるものの、連日描いているため乾いていないので、重色ではなく、きたない混色になってしまいます。

 制作過程をブログにあげることのモチベーション効果が高いがための結果ですが、平日は仕事なので多少無理をしています。今までなら連日描いてはいないと思います。ここは乾くまで待った方が得策かも。


2019年01月15日

コガネムシに明暗をつけました

 昨日描いた赤色(ローズマダー)が乾かないうちに、暗い色を重ねて塗ってしまいました。

 寝ている間に、昨日考えていた紺色(コバルトブルーディープ)よりも、暗い紫色(コバルトバイオレットディープ)の方がいいな、と気がつき、実践しました。ただし、緑色を出したいところにはコバルトブルーディープをかすれるように塗りました。そうすることで、一番下に塗った黄色と青が反応して緑色っぽく見えます。

 ここから先は、写真の色と違った自分独自の色になっていくと思います。
 まだ足を描いていないので、ダンゴムシみたいです。足を描く時には、年末に買ってきたラファエルの筆が役に立ちそうです。



2019年01月14日

下塗り 見えなくなる

 1月7日から着手した、本サイトの完全リニューアル(スマホ対応)が、本日ようやく終わり、アップを終えました。サイトは見やすくなったでしょうか?ここからはまた油絵の新作に少しずつ手を入れていきます。

 前回1月7日の時には、まだ下塗りの黄色が見えているところが残っていました。コガネムシの部分です。8日に薄く深緑色(サップグリーン)をかけ、乾くのを待って今度は赤(ローズマダー)を塗ってみました。もちろん単色ではなく、他の色と調合しています。厚く塗ると、下の色が完全に消えてしまうので、今日はかすれるように塗りました。

 写真に撮って全体を客観的に見ると、おかしなところにすぐ気がつきます。明日は紺色(コバルトブルーディープ)を陰の部分に少し厚めに塗ってみようと思います。(本当は乾いてからの方がいいのですが…)



2019年01月13日

花びらの当たり

 暮れに塗った黄色い下塗りが、1月7日になり、ようやく生乾きになってきました。白い花びらの当たり(だいたい)をつけてみました。1辺が162㎝あるので、近くで見たら粗だらけです。
 現在このホームページをスマホ完全対応にすべく、作り直し中です。絵もHPもどちらも時間がかかるので、時間がいくらあっても足りません。絵が足を引っ張られるかも。


2019年01月07日

描き初め!

 下塗りから乾かすこと4日目でようやくバックのコバルトブルーの部分だけ乾きました。毎年1月2日には描き初めをしているので、今回も間に合いました。ただし、カドミウムイエローの部分は乾いていないので、まだ重色ができません。奥から塗っていくというセオリーで考えると、ちょうどよかったです。

 バックの黒に見える部分には、黒の絵の具を使っていません。前々回の作品「生身4」で、バックにピーチブラックを使ったところ、地塗りや下塗りの色との乾燥の早さの違いで、ひび割れを起こしてしまいました。前回作品「生身5」では、黒を混ぜて作って塗ったので、ひび割れは起きませんでした。
 今回の黒は、上の写真で買ってきた絵の具のバーントアンバー(こげ茶色)とコバルトブルーディープ(紺色)を混色して作りました。「絵の具はパレットの上で混ぜずに、画面の上で混ぜろ。」とよく言われますが、そうすることで、単色ではないニュアンスが生まれます。でも度が過ぎると、茶色の線や青の線が出てしまいます。下塗りの青は縦方向に塗ったので、今度は横方向に塗ってみました。まだ深みのある黒が表現できていないので、乾いてからもう一度塗ることになると思います。今日はバーントアンバーが1に対して、コバルトブルーディープは2の分量で混色しました。買ってきた絵の具の本数は反対でした。


2019年01月02日

絵の具補充

 世界堂で絵の具を買ってきました。マツダスーパー40㎖チューブで、右端のコバルトブルーディープは3,800円もしました。世界堂会員はそこから30%割引なので助かります。
 あと、丸筆も買いました。ラファエルの862は、高いものでは1万円もするのですが、毛がアカテンで12号2,900円というものを見つけ、買いました。描き味はこれから試してみます。1万円のラファエル862も実は欲しいです。


2018年12月30日

下塗り2日目

 2日目の下塗りです。全面下塗りをしたので、次は乾くまで待ちます。冬場で乾きにくいので、4~5日かかると思います。1月2日に乾いていないと、毎年恒例の『描き初め』ができなくなってしまいます。乾くまでの間に、この大作に必要な絵の具を調達し、補充しておきます。


2018年12月29日

油絵制作ブログ開始!

 4月上旬に出品する予定の3枚目の作品に12月下旬、着手しました。
 構想はずっと温めていました。今までの樹木とは違う題材なので、手探りのチャレンジです。
 本来は、制作過程を公開することはしませんが、今回はチャレンジであり、実験であり、モチベーションを高めるために制作過程を振り返ろうと考えました。






 2016年5月に昭和記念公園でポピーの花を取材した時、衝撃を受けました。白いポピーの花にコガネムシが群がって食い荒らしていたのです。そんなおぞましいものを絵にしていいものかずっと悩んでいましたが、前回の春陽会神奈川研究会展で会員の先生方に背中を押され、一度だけやってみようと考えました。縦に長い樹木ばかり描いてきたので、S100号(162㎝正方形)を扱うのも初めてです。

 下は取材した写真をレタッチしたもの(A案)です。構図を含め、完成作品の原型となるので、何度も試行錯誤を繰り返します。



 下のレタッチはB案で、花の向こうに地球のイメージを描き、バックも試行錯誤しながら変化させてみました。苦労してCGで球形を描いたのに、花びらの隙間から見える感じだけでは立体感が表現しきれないと分かり、すっきりした最初の案(A案)をとりました。



 A案を基に、色鉛筆でスケッチをしました。コガネムシは計22匹も見えます。



 あらかじめ何日も前にS100号に地塗りをしてかわかしておきました。ふだん使わない地塗りの色にしてみました。



 鉛筆で大体の当たりをつけました。鉛筆跡は油絵では残りやすいので要注意です。



 1日目の下塗りは、ここまで。レタッチから始まり、スケッチ、下塗りと、我ながら1日でよくここまで進んだと思います。


2018年12月28日